第 337 回 PTT のお知らせ


日時:2007年10月25日(木) 18:30 から


場所:東京大学 本郷キャンパス 工学部 6号館 3階セミナー室AD (地図)



話者:
宮島 靖 (Sony CSL)


話題:
Music Mosaic Generator 〜時系列メタデータを利用した音楽リミックスシステム〜

概要:
音楽知識を持たない一般ユーザであっても、簡単に音楽リミックス制作ができる システム "Music Mosaic Generator" を開発した。 楽曲にあらかじめ付与した時系列メタデータを利用し、自動的に複数の楽曲の ビートやキーを揃えることで、音楽知識や面倒な波形編集を使わずに複数楽曲を 簡単に組み合わせることが可能である。メタデータの付与には、同時に開発した オーサリングシステム "MetaPong!"を使用する。MetaPong! は信号処理による自 動処理と人間の認知能力を利用した手動処理の双方の利点を活かして短時間で正 確なメタデータを付与することが可能である。 また、制作したリミックスは、リミックス情報を記述したレシピと原曲音源に よってリアルタイムに再生成されるため、第三者とレシピだけを交換することで 合法的に既存曲を使用したリミックス交換が可能となる.

Agenda:

  1. はじめに 〜 背景、音楽 CGM について 〜
  2. 方針と方法論
  3. 時系列メタデータについて
  4. MusicMosaic Generator の特徴とデモ
  5. 設計と実装
  6. まとめと今後


第 337 回 PTTメモ

出席者:20名

和田英一(IIJ)、伊知地宏(ラムダ数教研)、日比野啓(朝日ネット)、
紀信邦((株)ケイエルエス研究所)、尾崎亮太(NICT)、
並木美太郎、辰巳丈夫(東京農工大)、森田直幸(ルネサステクノロジ)、
多田好克、寺田実、渡邊隆造(電気通信大)、副田俊介(産総研)、
松田一孝、三橋泉、小谷和正、田中哲朗、筧一彦、横山大作、松崎公紀、丸山一貴(東京大)


質疑応答:

Q. remixとはどういうものか。
A. ここでは、既存の音楽に対して他の音源を重ねたり、信号処理を加えてアレン
ジを行なうことの総称をリミックスとしています。

Q. BPMとは何か。
A. Beats per Minute の略です。1分間に拍が何回あるかを示す音楽のテンポの指
標です。

Q. MetaPong! には波形が上下2段で表示されているが、これは左右チャネルのことか。
A. はい、その通りです。

Q. remixのサンプルにジャズが入っていなかったが、難しいことがあるのか。
A. 単純に個人的な趣味です。ジャズやクラシックを使ったものも非常に面白いと
思うので今後挑戦してみたいと思います。

Q. メタデータを予め(制作の段階で)つけておけばいいと思うのだが…。
A. ユーザにとってはそれが理想だと思います。ただ、制作側にとってのメリット
がないと積極的に付けてくれないでしょうね。

Q. ラジオ局などには選曲(プレイリストの作成)を専門にするスタッフがいた。
ネットワークサービスでプレイリストの共有・交換を行うものもあるが、こちらは
あまり流行っていないようだ。
A. まったく知らない人(しかも一般人)のプレイリストを共有しても面白くない
のだと思う。逆に Apple が iMix で行なっていた有名人のプレイリスト公開な
どはそれなりに流行ったと思う。プレイリストの裏側には「作成者」という人間
がいて、それを直接感じられるかがポイントだと思う。

Q. 音楽関連でCGMといえば「初音ミク」が流行っているが、どう思うか。
A. 今後飽きられるのか、それともしばらく流行って定着するものなのか個人的に
興味がある。

Q. MMGの操作で、リコメンドされたフレーズを伸ばしていたが、あれはどういうものか。
A. 元の楽曲のどこを使うかという「範囲」を延ばしていた操作である。

Q. 足し算のqualiaという話があったが、引き算というのも考えられるか。
A. Qualia は別として、音の引き算はあり得るし、実際に必要だと思う。
例えばボーカルを消して、別の素材に重ねるなどは通常使われているテクニック
である。

Q. メタデータに権利的な問題はないのか。
A. メタデータが原曲の著作権を侵害しているか? という質問であるとすると、
問題がないデータであるという認識である。専門家にも確認済みで、メタデータ
が含んでいるデータからは原曲のメロディを再現できないため問題がないとのこ
とであった。

Q. 音楽以外で、画像や動画にメタデータをつけることも考えられるか。
動きと音楽をメタデータで融合させるとか、映画の予告編を自動的に作るとか。
A. 非常に面白いと思う。今後考えたい。ただ、映像につけるメタデータは音楽と
は質が違うと思うので、どのようなメタデータが有効かを目的に合わせて考えな
くてはならない。

Q. 画像の組み合わせはサブリミナル効果の問題が気になるが、音楽ではどうか。
A. 音のサブリミナルというのは知らないが、可聴域を超えた音に関しては聞こえ
ている実感はなくとも肉体的に影響を及ぼす可能性はあるとおもう。
 例えば、超低周波を大音量で出すと本人には聞こえなくても、実は音波のパ
ワーが大きい可能性があり、影響はあるだろう。
 ただ、今回の MMG ではそのようなことはしていないのでご安心を…。