日時:2005年12月15日(木) 18:30 から
場所:東京工業大学 大岡山キャンパス 西 8号館10階1008号室
地図を参考に、大岡山駅(東急大井町線、東急目黒線)からおいで 下さい。駅前交差点を渡ったところがキャンパスの正門です(図の右下)。 開催場所は図の25番で示される建物です。 西8号館はふたつの建屋から構成されています。正面玄関を入ったところ がE棟で玄関奥にのびる廊下を渡ってW棟に行けます。開催場所はW棟の 10階の最奥にあります。 http://www.titech.ac.jp/access-and-campusmap/j/o-okayamaO-j.html
話者:
望月茂徳 (筑波大学システム情報工学科)
話題:
デジタル万華鏡
概要:
デジタル万華鏡とは、フラクタル画像符号化とカラースティーリングアルゴリズムを
組み合わせることによって、任意の画像に対して芸術的な変換効果を与える仕組
みを指す。フラクタル画像符号化は、画像圧縮の分野において多くの研究がなされたが
ここでは、フラクタル画像符号化の芸術的利用を目指し独自の拡張を行った。
ユーザーはタッチパネルや加速度センサー、カメラなどを備えた
デジタル万華鏡デバイスを用いて、
見慣れた景色を新しい感覚で直感的に捉えなおすことができる。
出席者:17名
グルミレア アブレート,佐藤一道,福久琢也,山口史門,脇田 健(東工大),
石畑 清(明治大),伊知地 宏(ラムダ数教研),山口文彦(東京理科大),
卜部昌平,寺田 実,丸山一貴(電通大),金子知適,繁富利恵,田中哲朗,
松崎公紀,横山大作,筧 一彦(東京大)
- 対象画像のブロックの切り方はどう決まるのか. エッジなど高周波成分が強い部分を細かく切るようしている. - スライドの説明にある「連続」とは. 全単射の意味ではないのか. 確かに「連続」という言葉はあまり正しくなかったかもしれない. まず, アトラクタからアトラクタへの対応は全単射の関係にある. その対応は, 反復関数系アドレスからなる記号空間を経由してmappingされる. その記号空間上では連続的な振舞いがあるが, その結果として表れる アトラクタ中の点列間の距離が, そのまま連続性があるという意味ではない. - 色を与える画像の座標へのmappingの仕方は固定か, それとも変化し得るか. 描画側とカラーパレット側とのmapppingは一意に決まるので, 固定される. 大まかにどのあたりから色をとってくるかというのは, カラーパレット画像上に設定する反復関数系のパラメータ(アフィン変換群) によって決定される. - 色を与えるための情報が 2次元画像である理由は何か. 1次元の色マップ でも良い(そちらの方が自然な)ように思えるが. 一次元の色マップを用いることももちろん可能だが, 任意の画像を色マップとして 使うことに直感的なわかりやすさと面白さがあるのではないか, という観点で 2次元画像を用いた. 二次元画像のスキャンラインを一次元マップとして用いる という提案はぜひ試したみたい. - 相似性で色を取り出すのであれば, フラクタルによる木のムービーの場合 全ての部分が同じ色になるはずでは. なっていなかったのは何故か. フラクタルによる木のムービーは, 単純な反復関数系をつないで色を移すという デモなので, 質問のようなことにはなりえない. 相似性を色で表現するいうのは これを発展させ, フラクタル画像符号化手法を応用することで初めて実現される. - 現在とられているアプローチの場合, 対象画像の色に基づく単なるカラー マッピングになってしまうのではないか. 用いたフラクタル画像符号化は画像をブロックで分けてから相似探索するという もっともポピュラーなものをつかったため, 確かに結果としてそのように見える傾向が強い. これを解決するには, 画像を形状でセグメンテーションしてから相似探索をする という方法が考えられるが, この場合, うまく画像を全部セグメントで多い 探索する計算コスト等で非常に困難であり, あまり現実的ではない. 今後の大きな課題のひとつである. - 画像の空間周波数の高いところと低いところとでの色分けに見えてしまう のだが. 変換後画像からの元画像認識性を上げようする目的の元に, 周波数成分でブロック分割の詳細度を変えているためである. - ブロックは均一にしてしまう方が素直に思えるが, そのやり方はどうか. 変換後画像からの元画像認識性をあまり考慮しない場合には有効であり, 拡張性があがる. - また, ブロックの切り分けの線を消すようにすると, 空間周波数の視点から 離れられてより良いのではないか. ある程度見た目を整えるために追加したものである. このような意図を 持たない場合は良いと思う. - 部屋の水玉カーテンを買ったのはいつか(それに着想を得た部分はあるか). 開発前である. ブロックを丸で囲い水玉のように装飾するアイディアは, カーテンから直接の着想を得たわけではない(と思う. もしくは無意識には あるかもしれない). これをデザインに応用できないか, という着想は 意識的である. - 加速度センサの利用, 利用しているアルゴリズム, 写真画像を元にした (色の?)変換, この 3点がこの研究の新規の部分であると言って良いか. その通りといって良いと思う. - 加速度センサはどのように使われているのか. 装置を回転させるとブロックの詳細度が変わる. 実際の万華鏡を 回転させると模様が替わる, ということにヒントを得た. - 芸術家に見せてみたか, その反応はどうか. 本格的に芸術家の方々に見てもらうのは今後の予定となる.