第 314 回 PTT のお知らせ


日時:2005年 9月29日(木) 18:30 から


場所:東京農工大学工学部8号棟 3階 3D室

場所: 東京農工大学工学部8号棟 3階 3D室
JR中央線東小金井駅南口から,西へ向かって徒歩8分程度です.農工大の東門に
建物の配置図があります.http://www.tuat.ac.jp/~c2001/gimc/nokokmap_s.jpg
に案内図があります.

話者:
古谷 雅理、櫻田 武嗣、萩原 洋一 (東京農工大学 総合情報メディアセンター)


話題:
監視カメラシステムの構築と運用
〜Webカメラ・無線LAN/FOMA携帯電話の利用〜

概要:

 近年、業務用の監視カメラシステム(CCTVシステム)が幅広く利用されている。
しかし、これらは導入時にカメラ等の機材の他に専用の配線工事が必要なため多
くのコストがかかる。また、異常を感知した際の確認は、現場に向かうか、監視
用モニタを見る必要があった。

 そこで我々は、新たな監視カメラシステムを構築し、運用を続けている。
本システムでは、安価に入手可能な民生用のWebカメラを利用する。似たような
製品も発売されているが、これらは記録できるカメラの台数が4〜10台程度で
あるため、大規模な展開ができない。

本システムでは、数社のWebカメラ混在で、40台程度を運用し、画像蓄積、
ライブ配信を行っており、蓄積画像の検索、表示はWebインタフェースからでき
るようにした。
 また、異常感知の前後の画像を自動的に動画に変換し、FOMA携帯電話に通知
する仕組みも開発した。現在は無線LAN/FOMA両対応の携帯電話を利用し、学内に
いる時はより、フレームレートを上げた動画を再生できるようにしている。

 本発表では、この監視カメラシステムの設計方針と実装、運用状況を紹介する。


第 314 回 PTTメモ

出席者:18名

木原 祐哉,櫻田 武尚,辰己 丈夫,萩原 洋一,並木 美太郎(東京農工大),
和田 英一(IIJ),伊知地 宏(ラムダ数教研),江木啓訓(慶応大),
石崎 賀昭,大日向 大地,滝田 裕,多田 好克,寺田 実,藤田 昌平,
丸山 一貴(電気通信大),副田 俊介,田中 哲朗,筧 一彦(東京大)

質疑応答およびコメント:


Q: 使っていると画像が劣化するというのは.
A.既存の監視カメラシステムはテープに録画するものが多い。
    テープを何回も使っているとテープがすり切れて画像が汚くなってしまう。
    そのため長時間使ってると画像が劣化する.

Q: webcamはウェブでしか見られないようになっているのか.
A.基本的にはそうです.専用ソフトを組み合わせれば動画を確認できるものもある。

Q: (侵入通知は)カメラを建物に入るように設置して30秒間をみせている?
 建物内にも設置すれば、入るのを映して15秒、入ったあとで15秒とかできないか?
A.今は1つのカメラしか使ってないが、複数カメラを組み合わせれば可能。

Q: 動画作成およびその送信にどれくらいの時間がかかるか.
A.表示されるまで2分くらいかかる。

Q: 屋内設置用のカメラの価格は.  サーバを含めた全体での価格は.
A.屋内用カメラはパナソニックのKX-HCM1,2の値段を参考に、
    システム全体の値段は、Webカメラ、AppleXServe、XRAIDの合計金額です。

Q: 故障, 断線などに対する保守性は?  カメラの場合可動部があると壊れ
   やすいと聞くが.
A.KX-HCM1は初期動作で目玉を無理に動かすので壊れてしまう。
 その他は屋外に設置しているが、今のところ壊れていない。

Q: カメラ部を動かすことは可能か.
A.一部に設置してあるKX-HCM1は可能。

Q: DoS attackなどに対する対策は.
A.完全に独立したセグメント上にあるため、特別な対策はしていない。
  FireWallのみ。

Q: 必要に応じて照明を併設する, というのはどうか.
A.今後検討していきたい。

Q: 過去の経験から, 解像度が低いと(個人特定などができず)役に立たなかった
   という経験がある.  また, そのカメラから得られた画像を監視する部屋自体に
   侵入がありうるので, そうした部屋にもカメラが必要だろう.
A.解像度の問題は非常に重要な問題である。これは、最大蓄積容量にもつながる。
  今後検討していきたい。監視する部屋にも複数台のカメラを設置している。

Q: 画像認識の研究をしているが、OpenCVライブラリで画像認識とかは
 やってみたらどうなのか?顔とか人物はどれくらい認識できて、どう使えるのかとか?
A.カーネギのFACEをやっているが、顔を認識したあとどうしたらいいのかが難しい。
 個人情報とのかねあいがあって難しい。

Q: 個人認識までさせなくても, (動物や落葉といったものではなく)「人が来た」
   というのに利用できないか.
A.正確な検知するのは、画像処理から判断するより、センサー検知の方が精度が高い。
 また、処理時間の問題からも、現時点ではセンサーがよいと判断している。

Q: 「監視されている」ことからくるストレスはないか.
A.今のところストレスになるというようなことはないようです。
 ただ作業画面を映さないようにするとかは配慮はしている。

Q: このシステム作成の上で, 苦労したことやブレークスルーはなにか.
A.苦労した点は、既存の監視カメラシステムの機能は提供しつつ、より簡単に
 早く情報を伝える手法(携帯電話への通知等)を作成したこと。
 既存製品との比較、実験、試行運用、修正の繰り返し。

Q: 画像の内容に対する検索は可能か.
A.できません。

Q: login / logoutの情報から, その時間帯の画像切り出しなどはどうか.
A.時間指定による画像検索が可能なので切り出すことは可能。

Q.何台までつなげられるか。
A.途中のネットワークの構成にもよるが、現状では50〜60台程度。

Q: 利用者のディスプレイに表示されている内容(といった個人の情報について)は
 どうカメラで保存されるか.
A.利用者のディスプレイに表示されている内容は基本的に写らないようにしているため
 考慮していない。

Q: 利用目的はいろいろとあり得るが, 偽造されていないということをどう
 証明するのか.  証明する方法は.
A.重要な場所は24時間365日撮影している。異常があった場合、一台のカメラの
 映像だけでなく複数のカメラの映像を提示することで判断してもらう。

Q: 別の携帯電話会社を使うというアイディアは試みたか.
A.GPS機能の利用も考え、auのGPS携帯は出てすぐに試したが、個人で作成の場合は誤差が大きい。
 また室内では入りにくいので、建物内にいた場合には無理と判断した。それと、auは学割で
 学生が多く使っているので、使っていないFOMAを選んだ方がより安全かというのも少しあった。

Q: 動画はストリーミングで送ってみてはどうか.
A.携帯電話に画像を残すことも重要であると考えているため、現段階ではストリーミングは考慮していない。