第 252 回 PTT のお知らせ
日時: 1999年 9月30日 (木) 18:30 から
場所: 東京大学情報基盤センター5階大演習室1
話者: 田中哲朗(東京大学情報基盤センター)
題目: NCは使い物になったか? - 東京大学の新教育用計算機システム
概要:
今年の3月に導入された東京大学情報基盤センターの新教育用計算機システム
は,1600台のクライアントマシンのほとんどを NC(Network Computer) にする
という他には例のない構成になっている.従来の教育用計算機システムでは,
Unixを利用するためのX端末と,Windows を利用するための PC と2種類のクラ
イアントマシンを用意したが,今回のシステムはX端末の機能と Windows端末
の機能を兼ね備えた NC を採用して,ユーザの様々な要求に答えつつ TCO 削
減を狙っている.この狙いがどの程度達成されたか,途中どのような困難があっ
たかを紹介した.
第 252 回 PTTメモ
出席者:
伊知地宏(富士ゼロックス),
和田英一(富士通研),
下國治(川崎市),
前田敦司,
多田好克(電通大),
丸山一貴,
林芳樹,
小林広和(東大),
寺田松昭,
並木美太郎,
毛利公一(農工大),
長 慎也(早稲田),
小出洋,
辻田祐一(原研),
金東虎(理研),
佐々木崇郎(),
粕川正充,
丹羽裕子(お茶大),
瀬川(農工大),
鈴木貢(電通大)
- (質) Thin Client という言葉をどういう意味で使っているか?
- (解) 一般には集中管理によるTCO削減等の思想を含めて定義している
と思うが,ここで使っている意味としては「ローカルなディスクを持
たない」という定義が最も近い.
- (質) 本郷駒場間のATM回線の値段がかなり割安だが.
- (解) 15km以内であること,新設回線ではなく通信容量の増強であり初
期費用がかからないこと,故障時の保守体制のレベルにより,この値
段になっている.
- (質) DisklessのWindowsシステムはあるはず
- (解) こちらの独自の調査でも資料提供招請による業者の提案資料でも
出てこなかったが,調査が不十分だったのかもしれない.
- (質) NCの認証をNISでおこなうのは,途中でtapされる可能性を考える
と危険でないか?
- (解) 末端までswitching HUBを使っているので,他のポートのトラフィッ
クは流れない.また,port security機能により,登録されたMACアド
レス以外のネットワーク装置からのパケットを受けるとportが落ちる
仕組みになっている.
- (質) 1024x768で16 bit colorというのは,最近のPCと比べて不足して
いないか? 加点項目に入れておいた方がよかったのでは?
- (解) 加点項目の数を増やしたくなかったので省いたが,あとから考え
ると重要な項目だったかもしれない.
- (質) 日本語の gray scale fontはそんなに見やすいとは思わないが
- (解) ドット数の多い2値フォントの方が見やすいのは確かだが,12ドッ
ト程度でも漢字が不自然でない形で見える点でgray scale fontは優れ
ている.
- (質) 液晶ディスプレイにするという選択肢は考えなかったのか?
- (解) スペースと消費電力両面で液晶ディスプレイは魅了的だったが,
ブラウン管ディスプレイとの7万程度の差額があると考えられ,1600台
だと総額で1億を超えてしまう.今回は残念ながらあきらめた.