第 192 回 PTT のお知らせ
日時: 1993年 12月 16日 (木) 18:30 から
場所: 東京工業大学 大岡山西7号館 204号室 (情報科学科ゼミ室)
(東急大井町線・目蒲線大岡山駅下車すぐ)
話者: 脇田 建 (東工大)
題目: 並行計算モデルへの一級継続の導入
概要:並行オブジェクト指向計算の枠組みにおいて,メッセージ送信およびメ
ソッド実行を抽象化し一級の継続として扱う.このことにより制御構造を一般
的に記述することが可能となり,並行言語は強力な拡張性を得る.枠組みのう
ち特にメッセージ送信を抽象化したメッセージ継続を扱う.メッセージ継続を
用いることにより通信機構,同期制約,オブジェクト間の制約,並行性制御,
スケジューリングなどを記述することができる.
食事: 今回もありません.
次々回: 1994年 1月 20日 (木) 農工大 (予定)
葉書の残りは 枚です
差出人(幹事):
113 文京区弥生 2-11-16
東京大学教育用計算機センター 岩崎英哉
03-3812-2111 ext. 3020
iwasaki@rds.ecc.u-tokyo.ac.jp
第 192 回 PTTメモ
日時: '93/12/16 18:30〜20:00
場所: 東京工業大学
題目: 並行言語への一級継続の導入
話者: 脇田建(わきたけん)
出席者:
岩崎秀哉(東大),
寺田実(東大),
鎌田敏之(慶大),
並木美太郎(農工大),
柏木伸一郎(東工大),
佐々木毅史(東工大),
立山義裕(東大),
高宮紀明(東工大),
下國治(東大),
伊知地宏(富士ゼロックス),
和田英一,
大野浩之(東工大),
金子正俊(東工大),
大久保啄也(東工大),
田中哲郎(東大),
大島芳樹(東工大),
佐々木晃(東工大),
森實裕人(東工大),
齊藤正伸(電通大),
佐口康之(富士ゼロックス),
佐々木崇郎(慶大),
脇田建(東工大)
概要:
Harmony プロジェクトでは、分散環境で協調的に動作するシステムの構築を
容易にするための言語機構を提供することを目標に一連の並行オブジェクト指
向計算に基づく言語の設計開発を行ってきた。Harmony/0 では、各種の同期記
述とメソッド継承機構との衝突について考察した。Harmony/1 では、分散並行
環境で処理の原始性を保証する並行性制御機構を入れ子式トランザクションと
して並行言語に導入した。 Harmony/1 ではトランザクションの概念はシステ
ムに組み込まれており、その意味を変更することが出来なかった。Harmony/2
では、この部分を改善し、任意の並行性制御機構を Harmony のプログラマが
実装できるようにすることを目標に、並行計算における継続(continuation)と
バージョン(version)の概念を一級オブジェクトとして提供する。
今回の PPTでは、研究の背景とオブジェクト指向へ移行計算に関する一般的な
話をし、Harmony に取り込まれた一級継続の枠組みについて説明した。
Harmony の一級継続の枠組みはメソッドの実行状態を表現するメソッド継続と
オブジェクト間のメッセージ通信によって進行する計算の状態を表現するメッ
セージ継続から成り立つ。メソッド継続はメソッド実行の継続であり従来の関
数型言語などで研究されている継続と類似のものである。メッセージ継続はメッ
セージを一級オブジェクトとして表現したものである。当日は主にメッセージ
継続について説明し、非同期通信、マルチキャストなどの通信機構を同期的メッ
セージ送信により実現できることを説明した。また、システムのメッセージ送
信の意味を守るための、メッセージ継続のセマンティクスの工夫について説明
した。
終りに:
たくさんの議論、質問、指摘をして下さいました。今後の研究の参考にさせて
いただきます。参加していただいた方、質疑をしていただいた方にお礼申し上
げます。
今回の話については
lemon.is.titech.ac.jp: ~ftp/pub/paper/harmony2.wooc93-post.ps.gz (日
本語)
に書かれています。同じディレクトリの harmony2.isotas93.ps.gz は
ISOTAS93 で発表した英語の論文です。日本語のものは isotas の論文をもと
に書いたものですので quality は同程度です。論文を引用するときには英語
の方を引用してください。
来年もよいお年を。
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「わ」 脇田 建 (wakita@is.titech.ac.jp)
東京工業大学理学部情報科学科佐々研究室
152 目黒区大岡山 2-12-1
TEL: 03-3726-1111 (ext. 3228), FAX: 03-3729-0231