第 162 回 PTT のお知らせ

PTT幹事の岩崎@東大です.今月のPTTのお知らせです.

今回は,情報処理学会全国大会(於 東京工科大学)の初日の夜に行ないます. 普段は参加できない方も,この機会にぜひいらしてください.別に参加申し込 みのようなものは必要ありません.当日会場にきていただくだけでよろしいわ けです.

場所は電気通信大学で,京王八王子駅から特急で約25分の調布駅下車,徒 歩約10分です.

なお,前回のお知らせでは,予定をたしか13日(水)とお知らせしましたが, 幹事の個人的な都合により,1日はやくさせていただきました.どうか御了承 ください.


日時: 1991年 3月 12日 (火) 18:30 から (水曜日ではありませんのでご注意ください)

場所: 電気通信大学 電子情報学科会議室 (西 2号館 6階 613号室)

京王線調布駅北口から北にむかい,甲州街道にでたら北側の歩道を西にむ かってあるく.マクドナルドがあったりするが,その先の交差点を右に(北に) 入る.するとこの道は電通大のキャンパスを西と東に分断している道で,少し いくと両キャンパスを結ぶ横断歩道があるので,そこから西キャンパスに入る.


話題: 日の目を見ることのなかった80286の保護機能を使用してみました

話者: 武内 和昭 (電通大 電子情報学科 多田研)

内容:

A.S.Tanenbaumが開発した教育用のOS MINIXをもとにして,誰も使用したこ とのない(?!)80286の保護機能を使用したOS MINIX/286を作成した.今回のPTT で は,このMINIX/286について発表する.MINIX/286はPC-9801VX上で開発して いるが,80286,80386をCPUに持つPC-9801で動かすことができる.

MINIXはOS核の部分をいくつかのプロセスにわけ,メッセージ通信を行なう ことで実現している.MINIX/286もMINIXと同じ方法でOS核を実現した. MINIX/286を説明するのに必要な,MINIXと80286の概要を述べた後,MINIX/286 のプロセスマネージャの実現法を説明する.なお,プロセスマネージャにはプ ロセス管理,メッセージ管理,低レベルの割込み処理は含まれ,今後の発表で は,その処理速度等の評価も行なうMINIX/286の実現においては,MINIXの実現 に加えて以下の点も考慮した.

  1. 80286のタスク切替え機能
  2. 80286の保護機能
  3. より大きなメモリ空間

また,評価は以下の点から行なう.

  1. プロセス切替えの速度
  2. メモリ保護の有用性
  3. 移植を伴う変更点
  4. プロセスマネージャの大きさ

発表の最後には,現在の状況をまとめ,今後の 問題点を整理する.


食事: 今回はありません.


次々回: 1991年 4月 17日 (水) 東工大 (予定)

葉書の残りは 枚です

差出人、幹事:
113 文京区本郷 7-3-1
東京大学工学部計数工学科  岩崎英哉
03-812-2111  ext. 7411
iwasaki@wadalab.t.u-tokyo.ac.jp

第 162 回 PTTメモ


日時: 1991年3月12日 午後 6:40〜
場所: 電気通信大学 西2号館 618 電子情報学科 会議室
題目: 日の目を見ることのなかった80286の保護機能を使用してみました
話者: 武内 和昭 (電気通信大学 電気通信学部 電子情報学科)
出席者: 端山 毅, 粕川 正彦 (東工大), 若林 伸和 (阪大), 多田 好克, 鈴木 貢, 森山 茂男, 原田 雅章, 牟田 英正 (電通大), 下山 朋彦, 早川 栄一, 池尻 宏 (農工大), 石畑 清 (明大), 永松 礼夫, 岩崎 英哉, 和田 英一, 中山 泰一 (東大), 堀 素史, 佐口 泰之, 伊知地 宏, 倉部 淳, 神戸 隆博 (富士ゼロックス), 鈴木 悦子, 小川 貴英 (津田塾)
質疑応答:

A.S.Tanenbaumが開発した教育用のOS MINIXをもとにして,誰も使用したこ とのない(?!)80286の保護機能を使用したOS MINIX/286を作成した.今回のPTT では,MINIX/286について発表する.MINIX/286はPC-9801VX上で開発している が,80286,80386をCPUに持つPC-9801で動かすことができる.

MINIXはOS核の部分をいくつかのプロセスにわけ,メッセージ通信を行なう ことで実現している.MINIX/286もMINIXと同じ方法でOS核を実現した. MINIX/286を説明するのに必要な,MINIXと80286の概要を述べた後,MINIX/286 のプロセスマネージャの実現法を説明する.なお,プロセスマネージャにはプ ロセス管理,メッセージ管理,低レベルの割込み処理は含まれ,今後の発表で は,その処理速度等の評価も行なうMINIX/286の実現においては,MINIXの実現 に加えて以下の点も考慮した.

  1. 80286のタスク切替え機能
    タスク切替え機能は,プロテクトモード使用時にできるものである. 切替えはレジスタの保存等も同時に行なわれる.この切替えはハード ウエアによって行なわれるので高速化できる.
  2. 80286の保護機能
    メモリをセグメントに分割して管理し,セグメントごとに属性を持た せることができる.この属性をもとに保護を行なっている.
  3. より大きなメモリ空間
    保護モードでは,物理メモリを16M管理することができる.
また,評価は以下の点から行なう.
  1. プロセス切替えの速度 レジスタの退避,復元に対しては80286の機能を使用した方が高速にで きたが,MINIXで要求するようなスケジュールを行なう場合には8086よ り遅くなることが示された.
この原因には以下の2点にまとめることができる. メモリ保護の有用性

実演というほどではなかったが,スタックあふれに対して自動的にスタックを 拡張する結果を示すことができた.

電気通信大学 電子情報学専攻 情報システム学講座 卒
武内 和昭
takeuchi@qr.cas.uec.ac.jp