PTT幹事の岩崎@東大です. 先日の投稿でもお知らせいたしましたが,今月のPTTは電通大の予定を 変更して慶応でおこないます. 2月26日で,いつもの水曜日ではなく火曜日ですのでご注意ください.
東横線日吉駅慶応大学側の出口(東側)を出て,東横線に沿って左(渋谷方向) へ行く. 仲の谷という交差点(仏具屋が目印)を右に(中華料理屋と民家の間の 道)曲がり,2〜3分で理工学部の表札が見えるので,そこの左手の坂を登る. 教室は25棟(ピロティの右の建物)の6階です.
情報処理において '言語' の果たす役割は大きい.計算機上である情報を 処理しようと思ったときに,その情報を何らかの方法で記述しなければならな いのは当然である.顕著な例では、実行手続きに関する情報を記述するための プログラム言語であり,OSのコマンドなども言語としてとらえることができ るだろう.表記上,言語は一次元のデータ列であるため,なんらかの解析手順 を踏まないと計算機はそれを受理することができない.その解析手順を与える ためにいろいろな言語のモデル化が行なわれ、数々の成果が得られている.
今回の発表では,言語と文法について説明した後,「属性継承文法 p(Attribute-Inheriting Grammar)」という新しいメタ言語を紹介する.属性 継承文法は従来の「属性文法」にオブジェクト指向の概念を取り入れたもので あり,言語のモデルの1種である。「属性文法」は比較的古くから研究の対照 とされており,今回「属性継承文法」に新しく取り入れられたものは以下のよ うなものである.
以上のような特徴を持つ「属性継承文法」について紹介した後に,従来の 文法の代わりとして応用することがふさわしい分野のいくつかについて簡単な 考察を行ない,「属性継承文法」の評価を行なってみたい.
食事: 16:00までに,045-563-1141 内線3630 久保田 まで.生協でも食べられます(18:30まで).
113 文京区本郷 7-3-1 東京大学工学部計数工学科 岩崎英哉 03-812-2111 ext. 7411 iwasaki@wadalab.t.u-tokyo.ac.jp
情報処理において '言語' の果たす役割は大きい。情報を記述するために いろいろな言語のモデル化が行なわれ、数々の成果が得られている.
今回の発表では、まず過去の言語モデルについて説明をした。プログラム 言語に応用されている形式言語理論は Noam Chomsky によって提唱された文法 理論に基づいており、現在でも計算言語理論の中心となっている。この理論で は、いくつかのレベルにモデルを分けており、主にそのレベルについての説明 を行なった。
次に、「属性継承文法」の元になった「属性文法」について説明を行なっ た。この文法は、 Donald E. Knuth によって定式化されたものであり、特に コンパイラ作成などでは中心ともいえる理論である。この文法では、構文 (syntax)と意味(semantic)を同時に計算することを可能としており、従来の言 語理論がsyntaxの計算だけであるのに対して多大な成果をもたらしたものであ る。
次に、「属性継承文法(Attribute-Inheriting Grammar)」について説明を 行なった。これは今回新しく紹介したメタ言語であり、「属性文法」にオブジェ クト指向の概念を取り入れたものである。「属性継承文法」では、syntaxと semanticsを同じレベルで「属性」という形でとらえ、計算にも同じ概念を導 入している。また、属性にオブジェクト指向の「継承」、「情報隠蔽」を応用 し、言語のよりいっそうのメタレベル化をはかっている。
「属性継承文法」を用いた具体例についても、いくつか簡単に説明を行なっ たが、まだまだ考察が不十分であり、参加者の皆様からもいくつかの助言、意 見を頂いた。今後は、皆様の助言、意見を参考にし、よりいっそうの考察を重 ねて定式化、応用例の両面で成果を得られるよう努力したい。